高津「おかえりオーレオール」感想や意味は?スキロー作者の神BL作品!

『スキップとローファー』という作品、知っていますか??

日常系の漫画で、
高校生のピュアな子たちが
周囲の人と関わりながら少しずつ成長していくお話。
感情の機微がよく描かれて、
「あぁ〜青春してるぅー!いいな〜!!」
って思える作品なんですよね。
アニメ化もしているし、
二期もあるしで、
すごく人気な漫画になっています。
で、今回は、この
『スキップとローファー』
略してスキローについて語る!
んじゃなくて、
この作品を描いている高松美咲先生の
別名義の「BL作品」について
お話ししていきたいと思います。
(一般作品かと思いきや、BLなの、さすが私ですよね笑)
※完全にネタバレを含みます。
『おかえりオーレオール』も超素敵な作品
実は、高松美咲先生を知ったのは、
別名義のBL作品『おかえりオーレオール』から。

ネットでこの作品がオススメされていたので、
軽い気持ちで読んだのですが、
これはこれは、もうめちゃくちゃ心がキュッとなる・・・!
私が何度も読み返すBL作品って、
そうそうないんですけど、
この作品は定期的に読み直しています。
作品の大まかな内容はこんな感じ。
明るく社交的なカズと、地味で真面目なモト
という幼馴染みの二人のお話。
中学進学後は、お互い自然と
別々のグループに属するようになるんですが、
少しずつ、カズがモトを意識するようになっていくんです。
葛藤したり、喧嘩したり、離れてみたり、
中学から高校にかけて、
主人公2人の成長と変化が丁寧に描かれています。
リアルな感情が心に響くんですよ。
別に超イケメン同士!ってわけでもないし、
大事件が起きるわけでもないし、
ファンタジー要素があるわけでもない。
純粋に
「もしかしたら、こんな子たちがいるかもしれないな・・・」
そんなリアルさが堪らない作品になっています。
実際に、先生も、
「そのへんにいそうな男の子の、
なんてことない恋愛をゆっくり追いかけてみたいな〜」
とおっしゃっていましたし。
BL作品でも、感情を丁寧に描いた良作。
ちなみに、私が幼馴染属性が好きなのもあるかもしれません笑
中学生から高校生にかけての成長が、
堪らなく好きなんですよね。
(三崎汐先生の『はるのうららの』も
好きすぎるのでいつか紹介させてください!)
あとはちょろっとですが、
家族との関わりも描かれています。
学生時代って、親子関係は
切ってもきれないよな〜って思うわけです。
BL作品に限らず、
親子関係のゴタゴタって
ストーリーを進める上で
よくあるじゃないですか。
でも、この設定いる??
みたいなトンチキストーリー
展開することも多い気がしていて。
無理矢理な感じもしちゃうというか、
押し付けを感じるんですよ。
『おかえりオーレオール』は、
そういう無理矢理感もないし、
そこまで重くはないけど、
ストーリー展開に必要だなって
思える要素としてサラリと入ってきます。
この作品を読んで、
心がじんわりと滲むような感覚を
味わえること間違いなしです。
『おかえりオーレオール』の考察と推しシーン
タイトルの意味
作品のタイトルが『おかえりオーレオール』なんですが、
作中では、一切タイトルの意味が明かされていませんでした。
「オーレオール(Auréole)」はフランス語。
調べてみると、以下のような意味がありました。
- 「後光」や「光輪」
- 聖人の頭の後ろに描かれる光の輪(英語で言う「Halo」)
- 太陽や月の周囲にできる光の輪(ハロ現象)
- 「栄光」や「称賛」
- 「輝かしい栄誉」「称えられるもの」といった意味でも使われる
- 「柔らかく広がる光」
- 物理的な光だけでなく、雰囲気や空気感として「ふんわりとした輝き」というニュアンスでも使われる
こうやって意味を調べてみると、
オーレオールってピッタリだなーと思うんですよね。
最後に、カズが
「ただいま」
って言うシーンがあるんですが、
きっとお互いがお互いにとって、
オーレオール=光
だったんじゃないかなって思うんです。
カズにもモトにも。
お互いにとって大切な「光」が、
帰ってきてくれたんじゃないかなって。
オーレオールは、「柔らかい光」
という意味もありますが、
静かで優しく、心にじんわり広がるような作品に
ピッタリだなーと思うんです。
蛾が象徴的に描かれる

作中では、象徴的に”蛾”が描かれています。
これは、ヘルマン・ヘッセの
『少年の日の思い出』のオマージュ
ではないかと思います。
どんな物語か軽く説明しますと、
主人公は、昆虫採集が好きな少年で、
憧れの先輩が持っている珍しい蛾を
嫉妬からこっそり奪ってしまう。
結果的に蛾を壊してしまい、
少年は深い後悔と自己嫌悪を抱く、というお話。
物語は、「憧れ」が「嫉妬や破壊衝動」に変わる場面が印象的です。
これを本作と比較するとこんな感じ。
少年の日の思い出 | おかえりオーレオール |
蛾の剥製に憧れ、欲しくなる | カズの「モトへの気持ち」 |
盗んでしまい、結果的に壊す | カズが蛾を「壊す」=自分の中の感情が壊れる |
それをきっかけに関係が壊れる | カズとモトの関係が壊れる |
壊したことを後悔するが、関係は戻らない | カズは蛾(モトへの想い)を壊すが、時間を経て修復する |
「手に入らなかったもの」は永遠に失われる | 「一度失ったように見えたもの」は、時間と共に還ってくる |
カズは、モトとの関係を壊すんです。
でも、『少年の日の思い出』と違うのは、
その後、長い時を経て関係が変化していく。
「一度壊したものは、二度と元に戻らない」
のではなく、
「時間が経っても、関係は修復できるし、感情は再び通じ合う」
ということですね。
最終的な結末が、真逆になっています。
『おかえりオーレオール』はもしかすると、
『少年の日の思い出』の「ほろ苦さ」に対する、
「もしも、時間が経ったら…?」というアンサー的な物語
になっているのかもしれません。
「失われた光が、時間を経て還ってくる」
『おかえりオーレオール』のタイトルぴったり。
エモい。うん。
関係性が変化する前触れ
あとは、いくつか好きなシーンを紹介していきますね笑

個人的に好きなシーンなんですが、
中学に上がったりすると、
お互い新しい友人ができるじゃないですか。
いつも仲良しだと思ってた友人が
いつの間にか知らない人と
仲良く話していて、
全く入っていけない雰囲気。
ちょっと疎外感を感じるってあったと思うんですよ。
カズがモトに対しての感情が変わったように、
モトもカズに対して、
少しずつ関係が変わっていきそうな予感は
していたんだろうと思います。
まさに変化の前触れって感じで、
違和感というほどではないけれど、
それを言葉にするにはまだ早いけれど、
そんな曖昧な感じがいいな〜なんて思うわけです。
多分、私の趣味です笑
都合のいい未来を思い描く

ここも、エモエモシーンなんですが。
また、カズとモトが通じ合う前。
「だってそうだったらいいじゃん」
は、完全にカズの願望ですよね。
そして、カズはモトに
「今はまだ深く考えなくていい」
「この関係が壊れないことにしておこう」
って言ってるようにも見える。
この段階では、
まだまだ現状維持のための逃避に見えるんですよね。
こういうカズくんの様子を見ると、
大丈夫だよ、君は。
絶対幸せになるからね・・・
って応援してくなる私なんです。
一方のモトは、
「今の状態じゃダメだ」
って気づいてて、
そろそろ覚悟決めないとなって
むしろ、そういうカズの姿を見て
決意したんじゃないかなって。
だから、このシーンって、
大きく関係が変化する前触れで
すんごく好きなシーンなんですよね。
これも私の趣味です、はい笑
私という人間は、
何か大きく心が揺れるシーンより、
こういう嵐の前の静けさというか、
動き出す直前のもどかしいシーンが大好きなんすよね。。
爽やか日常系BLで読後感最高
いかがでしたでしょうか。
私の趣味全開のレビューでしたけれど、
激しい何かがあるわけでもなく、
誰にでもあるような、
心の揺れを描く作品が好きなので、
これからも時々紹介したいと思います。
あと、スキローが好きな人は
私と親友になれます・・・!
是非、お友達になってください!!